「……休みたい……考えたくない……」
ポロリと口をついて出てきた、その言葉。
その言葉に押されるように、涙が出てきた。
こんな疲れてたのか、私……
「そう願えるうちに立ち止まれて、よかったな。」
そうか、よかったのか……これでも。
まだ、よかったのか……
そして私たちの眼の前で、現れたばかりの城がサラサラと砂になって崩れて消えていった。
あとに残ったのは、小さなオアシス。かろうじて水場がくっついている。
「なぁ、休むなら、どんなところで休みたいんだ?」
安全で、気持ちいいところかなぁ。
温かいところのほうが、休める気がするよねぇ。
トロピカルな海? 南の島に高飛び?
すると砂漠の彼方に、水辺が現れた。
目を凝らすと、波が立っているのも見えてきた。
微かに、潮の香り……波音も聞こえるような?
「行ってみるか?」
本部長代理の言葉に、頷く。
海を、見てみたい。
ああ、私はまだ、見知らぬ風景を見たくてワクワクする気持ちが残っていたんだ。
確かに私は、本当にダメになる前に、SOSを出せたらしい。
そうして、海辺に辿り着いた。
おあつらえ向きのデッキチェアに、トロピカルな飲み物も。
フラフラと近付き、そっと座ってみた。